2020.05.28更新

●子供が生活習慣病にかかる危険性

日本の若い女性に増える「やせ」問題と、低出生体重児など小さく生まれた赤ちゃんが生活習慣病にかかりやすいと言われる理由について書いていきます。

 

お母さんが妊娠糖尿病であったり肥満である場合には、赤ちゃんに栄養が供給され過ぎる「胎児の過栄養問題」が生じやすくなります。

しかし、これとは逆にお母さんがやせており胎児が「低栄養状態」で育ってしまうこともまた、生まれたお子さんが将来生活習慣病にかかるリスクを高める可能性があります。

これは、今の日本の社会では見過ごすことのできない問題といえるでしょう。

なぜなら、日本における妊娠可年齢の女性はやせ志向が強く、実際に20代ではおよそ4人に1人が「やせ」とデータでも示されています。

 

●やせ妊娠の合併症ー小さな赤ちゃんが生まれやすい

やせ妊娠の合併症には、切迫早産・低出体重児(出生体重が2500g未満)などあります。

赤ちゃんが低体重児など比較的小さく生まれてくる理由は、お母さんから届く栄養が少なく、成長因子であるインスリン分泌が十分になされなかったためと考えられます。

お腹の中の赤ちゃんは、栄養が十分に届かないという環境に適応しようとしますから「なるべくエネルギー消費を抑え、脂肪としてため込もうとする体質へ」と育っていきます。これは、インスリン分泌が少なくインスリン抵抗性が強いという体質になりやすくなるということです。

しかし、エネルギーや糖をため込む体質を持った赤ちゃんが生まれてくる環境は、「飽食の時」と呼ばれる現代の日本です。

赤ちゃんが小さく生まれてきた時、お母さんはミルクをたくさん与えようとしますが、これは子供が太りやすくなってしまったり糖代謝異常を起こしやすくなることに繋がります。

 

●胎児期の低栄養問題と減少する平均出生体重

かつて日本では、「小さく生んで大きく育てよう」という言葉が使われていましたが、これは将来のメタボリックシンドローム発症への危険性を上げる危険な行為と考えられます。

出生体重が小さく、また小児期の体重増加が大きいほど肥満や2型糖尿病・高脂血症・高血圧などの生活習慣病の発症率が高くなると明示されています。

 

今の日本では、赤ちゃんの平均出生体重が右肩下がりに減っています。

かつては3200gほどであった平均出生体重は、今では3000gを切るまでに下がりました。

2500g未満の低体重児はおよそ10人に1人の割合で見受けられます。

早産ではない、正期産のお産(37週~41週6日の間のお産)で赤ちゃんが小さく生まれる原因としては、やせ・妊娠高血圧症候群・喫煙妊婦などがあげられます。

したがって、低出生体重を予防するには喫煙や食生活の改善が必要になります。

 

 

 

投稿者: 高橋整骨院

2020.05.27更新

羊水は、妊娠早期から存在し、妊娠後半期になると胎児の尿がその主成分になります。

また、胎児が羊水中に排尿し、それを嚥下(飲み込む)することで量が調節されています。

そのため、羊水の量は胎児や母体の状態を反映する重要な指標になると考えられています。

羊水量は妊娠の進行とともに増加して妊娠32週前後でピークになり、その後は徐々に減少していきます。

生理的な羊水量の範囲を大きく超える場合を羊水過多、これにより子宮が大きくなって圧迫感や子宮収縮、子宮頸管長の短縮などの症状が出現している状態を羊水過多症と呼んでいます。

羊水過多は、全妊娠の約1~2%に合併するといわれています。

 
●原因
羊水過多の原因には、大きく分けて胎児側に異常がある場合(胎児因子)と、母体側に異常がある場合(母体因子)の2種類があります。

「胎児因子による羊水過多」
羊水は、胎児により尿として産生され、嚥下されているという生理的な背景から、1) 産生量が多くなる場合、2) 嚥下がうまくできていない場合の二つに分けられます。

1) 産生量が多くなる場合
胎児の心拍出量や腎血流量が増加するときに多くなると考えられています。

たとえば、血液型不適合妊娠や母体パルボウィルス感染で胎児貧血が起こっているとき、組織の酸素化を維持するために心拍出量が増加し、その結果羊水も増加します。

2) 嚥下がうまくできていない場合
飲み込む力そのものが弱くなる場合と、嚥下しても上部消化管が閉鎖しているために吸収されない場合とがあります。

上部消化管が閉鎖する疾患としては食道閉鎖や十二指腸閉鎖、飲み込む力が弱くなる疾患には染色体異常、神経疾患、筋疾患などが当てはまります。

「母体因子による羊水過多」
母体因子として最も重要なものは、糖尿病合併妊娠や妊娠糖尿病です。

コントロール不良の糖尿病があると、母体だけでなく胎児も高血糖となります。

その結果胎児の尿産生量が増加し、羊水過多になると考えられています。
 
●症状
羊水が多いだけで何の症状もない方もいますが、お腹が張る、苦しくて食事が摂れない、吐いてしまう、横になれない、尿が近い、尿が漏れるなどの症状が出ることがあります。

また、自覚症状が乏しくても、内診すると子宮口が開きかかっていたり、子宮頸管長が短縮していたりします。

先述のとおり、いわゆる羊水過多症です。

●検査・診断
妊娠中に羊水量を直接調べることはできません。

そのため、超音波検査により羊水量を推測し、診断します。

超音波検査では、羊水ポケットや羊水指数(AFI)を調べることが一般的に行われています。

●羊水ポケット
超音波プローブを子宮に垂直に置いて、子宮内側と胎児との間に接するように描いた円の直径を羊水ポケットと呼んでいます。

2cm以上8cm未満が正常範囲で、2cm未満を羊水過少、8cm以上を羊水過多と診断します。

●羊水指数(AFI)
子宮を正中線と臍(へそ)の高さで上下左右に4分割し、それぞれの領域の最大羊水深度の合計を〇〇cmで表した指標です。

5以上25未満が正常範囲です。

羊水過多と診断された場合、その原因検索を行います。

原因となりうる疾患を念頭に置いて、胎児スクリーニングや母体の糖代謝異常の検査を行います。
 
●治療
羊水過多があることにより、自覚症状・他覚症状が出現している場合、治療を行います。症状が軽度であれば、まずは切迫早産の治療に準じた保存的な治療を試みます。

入院による安静、子宮収縮抑制薬の投与などがこれにあたります。

子宮がとても大きくなって圧迫感や呼吸困難感が出現するような場合には、羊水除去を行う場合もあります。

太めの針で子宮を刺し、30分程度の時間をかけて1~1.5リットル程度の羊水を除去します。

まれに破水や子宮内感染、胎盤早期剥離(はくり)などの合併症が出現するため、注意が必要です。

糖尿病によるものや特発性のものでは、羊水除去を必要とするような高度な羊水過多になることは滅多にありません。
 
 

 

投稿者: 高橋整骨院

2020.05.26更新

子宮内膜は子宮の中の腔(空間)を覆っており、月経周期に伴って分厚く増殖し、月経の際に剥がれ落ちるというサイクルを繰り返しています。

子宮内膜増殖症とは、子宮内膜が異常に厚く増殖した状態を指します。

場合により子宮体がんの発生原因となったり、あるいは子宮体がんが隠れていたりする場合もあり、注意が必要な疾患です。

 
●原因
子宮内膜の変化には女性ホルモンが関与していますが、子宮内膜の増殖作用があるエストロゲンがさまざまな要因により過剰な状態になることで生じます。

エストロゲンが過剰な状態となる原因としては無排卵、エストロゲンを主成分とするホルモン剤を内服している場合、月経周期の後半で作用するプロゲステロン(排卵後に作用する女性ホルモン)の分泌が少ない状態 (黄体機能不全)、多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群などが挙げられます。

また、肥満や高血圧、糖尿病なども子宮内膜増殖症になるリスクが高いとされています。

さらに子宮内膜の過剰な増殖状態が続くことで、内膜を構成する細胞の遺伝子に傷が蓄積し、正常でない状態 (異型細胞と呼ばれます)となることが知られており、異型細胞が増殖を繰り返すことで子宮体がんの発生母地(前がん病変)となる場合があります。

子宮内膜増殖症は子宮内膜を構成する細胞の異型の有無に応じて2つに分類され、細胞に異型のない場合は「子宮内膜増殖症」、細胞に異型がある場合は「子宮内膜異型増殖症」と呼びます。

「子宮内膜増殖症」は、癌化率が2%程度と低いですが、「子宮内膜異型増殖症」は癌化率が20%程度と高いことが知られています。
 
●症状
最も多い症状は不正性器出血で、月経でないのに出血がある状態を指します。

その他、月経時に増殖し厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちることによって、通常より月経量が増え(過多月経)、これにより貧血や動悸(どうき)などの症状がみられることがあります。
 
●検査・診断
不正性器出血などの症状がみられた場合、下記のような検査が行われます。

・問診
・内診
・超音波検査
・画像検査 (MRIやCT検査など)
・病理検査 (細胞診や組織診)
・血液検査
・内診
・内診によりおりものの性状、出血の程度、出血が子宮から出ているかどうかを確認します。

また、子宮、卵巣の形や大きさなどについても評価します。

●超音波検査
超音波が出る棒状の器具を腟から挿入し子宮内膜の厚さや状態を確認します。

●病理検査 (細胞診、組織診)
細胞診は専用のブラシやチューブのような器具を腟から入れて子宮の奥にある細胞を採取し顕微鏡で調べます。

また組織診は子宮内の組織の一部を器具で引っ掻いたり吸引したりして採取した組織を顕微鏡で調べます。

どちらの検査も痛みや出血を伴うことがあります。

これらの検査により子宮内膜の増殖が確認されると診断が確定します。

●画像検査
子宮や卵巣の状態によっては超音波検査に加えて、子宮や卵巣の状態をさらに評価するため、MRIやCTによる画像評価を行う場合があります。

●血液検査
月経時の出血が多い場合や動悸などの症状がある場合には貧血がないか血液検査を行う場合があります。

またホルモン量の評価も行う場合があります。
 
●治療
治療は細胞の異型の有無(「子宮内膜増殖症」か「子宮内膜異型増殖症」か)に応じて大きく異なります。

その上で年齢や妊娠・出産の希望の有無を加味して個別に検討がなされます。

●「子宮内膜増殖症」の場合
細胞の異型がない子宮内膜増殖症は60%以上が自然に治るため、治療を行わずに経過観察することが一般的です。

定期的に外来で診察を行い、超音波検査や病理検査(細胞診、または組織診)により子宮内膜増殖症の経過を評価していきます。

性器出血が持続する場合やそれによる貧血が強い場合などにホルモン剤を用いた治療が行われることもあります。

●「子宮内膜異型増殖症」の場合
まずは子宮体がんがないか調べることが重要です。

このために麻酔を行なった上で子宮内膜全体を削り取る「子宮内膜全面掻爬(そうは)」と呼ばれる処置を行います。

病理検査で子宮体がんがないことを確認した上で子宮内膜異型増殖症の治療へ進みます。

子宮内膜異型増殖症の治療では、子宮を取り除く手術 (子宮全摘出術)を行うのが一般的です。

ただし妊娠の希望がある場合には、状況に応じて子宮を摘出せずに高用量の黄体ホルモン剤 (メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA))の投与を行う場合や、検査と治療を兼ねて定期的に子宮内膜全面掻爬を行う場合があります。
 

投稿者: 高橋整骨院

2020.05.22更新


黄体嚢胞とは、排卵の際に形成される黄体(おうたい)の中に透明な液体が溜まってしまい、風船のように腫れてしまう状態を指します。

黄体は、排卵によって卵子が卵巣から放出される際に、卵巣内に一時的に形成される黄色っぽいホルモン分泌組織です。

ホルモンとしてプロゲステロンとエストロゲンを分泌します。

通常の月経周期において黄体は、妊娠成立しなければ自然退縮し、ホルモン分泌が低下して、ついには子宮内膜がはがれる現象を引き起こします。

これが月経です。

一方、妊娠した場合には、妊娠黄体となり、プロゲステロンとエストロゲンの分泌が続きます。

妊娠初期にはこれらステロイドホルモンを分泌することで、胎盤(たいばん)が完成するまでの間、流産することなく胎児が成長するよう守っています。

このとき、妊娠によって母体内で増加した妊娠性ホルモン(hCG)が黄体を刺激してしまうと、黄体嚢胞が起こります。

妊娠初期に黄体嚢胞ができる場合、排卵した側の卵巣に発生するので、左右どちらかであることがほとんどです。

黄体嚢胞自体は、一時的なもので基本的に害はありません。

ところが、溜まった液体による重さで黄体嚢胞が入っている卵巣が捻れてしまったり、膨らんだ部分が破れてしまったりする可能性もあるため、注意が必要です。
 
●原因
黄体嚢胞は、妊娠に伴い増加した妊娠性ホルモン(hCG)が、黄体を過剰に刺激することが原因と考えられています。

しかし、なぜ過剰に刺激されてしまうのか、過剰に刺激されることでなぜ液体が溜まってしまうのか、などの具体的なメカニズムははっきりとわかっていません。

また、通常は妊娠初期の女性に比較的よく見られるものですが、まれに絨毛性(じゅうもうせい)疾患の方にも見られます。
 
●症状
黄体嚢胞ができただけでは、自覚症状はほとんどありません。

ただし、腫れた重みによって卵巣が捻れてしまうと、激しい痛みが現れます。

これは、捻れることによる血流の悪化と、捻れることによる組織の牽引(引っ張られること)によって起こるものです。

腫れた側の卵巣が捻れるため、通常は左右どちらかの下腹部に痛みを感じます。

強い痛みのため、同時に吐き気や嘔吐が現れることもあります。

また、まれですが、腫れた黄体嚢胞が破裂してしまうこともあります。

捻れたときのような激しい痛みは出にくいのですが、もともと水風船のような状態の黄体嚢胞が破れるため、お腹の中で少量の出血があり、漏れた液体による刺激で軽度の痛みが現れることもあります。
 
●検査・診断
通常は内診と超音波検査でほぼ確実にみつけられます。

ただし、妊娠初期に卵巣の腫れが見つかった場合、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)という別の疾患である可能性も考えなければなりません。はじめて見つかった場合には、黄体嚢胞と卵巣嚢腫(腫瘍)の判別が難しいことが多いため、少し時間をおきながら数回の検査で判断していきます。

黄体嚢胞であれば一時的な腫れなので数週間後に小さくなったり消えたりすることがほとんどですが、卵巣嚢腫(腫瘍)ではそのようなことはありません。
 
●治療
黄体嚢胞は、基本的には自然に消えていくものなので、必ず治療が必要なわけではありません。

卵巣嚢腫(腫瘍)ではなく黄体嚢胞だと判断できれば、経過観察でよいと考えられています。

ただし、卵巣が捻れる、もしくは破裂していることを疑う症状がある場合や、それらが明らかに判断できる場合には治療が必要になります。

具体的には、完全に捻れてしまった場合は手術療法が必要になります。

破裂の場合には、必ずしも手術が必要なわけではなく、お腹の中での出血や痛みがごく軽度であれば、入院または外来での経過観察が可能です。

また、腫れた原因が卵巣嚢腫(腫瘍)である場合には対応が異なります。
 
 

 

投稿者: 高橋整骨院

2020.05.19更新

卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)とは、卵巣嚢腫(卵巣に発生する腫瘍性病変)に合併する救急疾患のひとつになります。

卵巣は一般的に小指先から親指先程度の大きさ(2~3cm)で、骨盤内の左右に存在していますが、骨盤内ではしっかりと固定されているわけではなく、体の動きや向きにあわせてプラプラと動いています。

通常は、卵巣が動いてもすぐにもとの位置に戻りますし、卵巣自身は軽いため、動くことで周囲の血管や組織を巻きこんだりねじったりすることはありません。

ところが、卵巣嚢腫によって卵巣が腫れた状態では、卵巣自身の重さが増しているため、卵巣が動いた際に周囲の血管や組織を巻きこむようにして捻じれてしまい、そのまま元の位置に戻らないことがあります。

こうなってしまうと、卵巣周囲の血流が悪くなり、激しい痛みが生じるとともに、その部位の組織が徐々に壊死してしまいます。完全に壊死に至ってしまうと、治療(手術)をしても卵巣を含めた壊死組織の機能は回復しないため、早急な診断と治療が必要な救急疾患といえます。

卵巣茎捻転は、卵巣嚢腫を有する女性であれば誰にでも発生する可能性がありますが、卵巣嚢腫の種類や大きさなどによって発生リスクは異なるといわれています。

 
●原因
卵巣嚢腫が根本的な原因となります。

ただし、卵巣嚢腫の種類や大きさなどによって発生リスクは異なるといわれており、一般的に大きさが6cm以上になると、その重みによりリスクが高まるとされています。

ただ、それより小さい卵巣嚢腫でも卵巣茎捻転が発生することはあります。

また、もっとも頻度の高い卵巣嚢腫の種類は、成熟嚢胞性奇形腫というもので、若年女性に比較的多い良性腫瘍になります。

一方で、子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)では卵巣周囲に癒着(周囲の組織とくっついてしまうこと)が生じていることが多く、このために卵巣茎捻転は比較的起こりにくいと考えられます。

卵巣嚢腫は体動にあわせて動くことが多いと考えられていますが、具体的にどの程度激しい運動で、どんな体の動かし方が卵巣茎捻転を生じやすいかは分かっていません。

このため、卵巣嚢腫があるとわかっている女性に対して、日常生活での運動制限を指示することは一般的にありません。
 
●症状
卵巣茎捻転、つまり卵巣嚢腫が捻じれて周囲の組織の血流が遮断されると、その部位に激しい痛みが生じます。

一般的に卵巣茎捻転が起こるのは卵巣嚢腫がある側の卵巣であり、卵巣嚢腫が指摘されている側の下腹部に突然激しい痛みが生じた場合には卵巣茎捻転を疑わなくてはなりません。

また、痛みにともなって吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状をともなうこともあります。

通常、性器出血をともなうことはありません。

なお、卵巣茎捻転が起こってからある程度(数時間~1日程度)の時間が経過すると、発生した部位での壊死が完全に完成してしまう場合があります。

こうなると、逆に痛みがなくなってしまうケースがみられます。

しかし、この場合には自然に治ったわけではなく、完全に壊死し、卵巣機能の回復は望めない段階となっていることが多いと考えられます。
 
●検査・診断
通常、激しい下腹痛を自覚して病院を受診することが多いため、まずは意識状態や血圧、脈拍数など身体の基本的な状態を把握します。

次に診察に移りますが、婦人科診察では通常内診を最初に行います。

一般的には痛みのある側の子宮や卵巣を詳しく観察するために超音波検査を実施し、腫れている卵巣嚢腫周辺に最も痛みが強いかどうかを確認します。

ただし、超音波検査だけでは実際に卵巣嚢腫が捻じれているかどうかを判断することは困難なことがあり、その場合にはCT検査やMRI検査などの精密画像検査を行うこともあります。

もし卵巣茎捻転が強く疑われた場合は、一般的に緊急手術が必要となるため、術前検査としての血液検査、心電図、レントゲンなどを行うことになります。

なお、病院によって術前検査の内容は多少の違いがありますのでご確認ください。
 
●治療
卵巣茎捻転を治療するには、開腹手術が必要となります。

開腹し、直接卵巣嚢腫の捻じれや周囲の血流遮断の程度を確認します。

卵巣茎捻転が発生してまだ間もなく、血流の状態があまり悪くなければ、卵巣嚢腫の捻じれを元に戻して卵巣機能の回復が可能かを判断します。

可能と判断した場合、正常な卵巣部分を残し、卵巣茎捻転の原因となった卵巣嚢腫の部分だけを摘出する手術を通常行います(卵巣嚢腫摘出術)。

一方で、捻じれを元に戻しても卵巣機能の回復が望めない場合には、壊死した組織を体内に残しておくことで全身への悪影響を及ぼすことを考慮し、壊死した卵巣、卵管、卵巣嚢腫をまとめて摘出する手術を通常行います(付属器摘出術)。

一般的に、これらの判断は手術中に行う必要があるため、手術が始まる前によく主治医の説明を聞いておきましょう。

なお、近年では腹腔鏡手術(お腹の中を対象とした内視鏡手術)を緊急時でも実施できる医療機関も増えてきており、そのときの状況によっては腹腔鏡手術が可能な場合もありますが、どこの医療機関でも可能なわけではなく、また緊急時には開腹手術の方が望ましいと判断される場合もありますので、こちらも主治医にきちんと確認するようにしましょう。
 
 

 

投稿者: 高橋整骨院

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